本研究では、並列メッセージパッシングライブラリ MPI を共有メモリ通信 メカニズムを用いて高速に実現する方式である MPI/MBCF を提案し、その性能を 評価する。 MPI/MBCF ではプロセス間のメッセージ通信において、共有メモリモデルを 利用した write および eager の 2 種のプロトコルを混合して 用いる。 write プロトコルでは遠隔メモリ書き込みを用いてメッセージの バッファリングを必要としない通信を実現し、eager プロトコルでは メモリベース FIFO を用いてライブラリに求められるメッセージのバッファリングを 実現する。 これら 2 つのプロトコルは送信および受信関数の先行関係により自律的かつ 動的に切り替えられる。 MPI/MBCF の性能をワークステーションクラスタ上で評価した。 基本性能として round-trip time および peak bandwidth を測定し、 実アプリケーションでの性能を調べるために NAS Parallel Benchmarks を 実行した。 評価の結果から、共有メモリ通信メカニズムを用いてメッセージパッシング 通信を実現することの有効性が示された。